生クリームに加える砂糖の量
生クリームに加える砂糖の量は、基本的に生クリームの重さの6%から10%の量が理想的とされています。
生クリーム200mlであれば砂糖は約15グラム程度が目安になります。
好みによって調整することが可能ですが、注意点もいくつかあります。
砂糖をあまり入れたくないという方は、使用方法によって少し注意が必要なのです。
そもそも砂糖がなくても大丈夫?
砂糖を加えなくても生クリームは泡立ちます。
- 生クリームに砂糖を加えずに泡立てたものをクレーム・フエテ
- 砂糖を加えたもの生クリームを泡立てものをクレーム・シャンティイ
と一般的に分類されて呼ばれています。
ただし、洋菓子店によってホイップしたクリームの呼び方はそれぞれ異なっていることは多くあるため、明確に分けられているわけではありません。
砂糖を加えることでの効果
生クリームに砂糖を加えることで、得られる効果は大きく以下の3点になります。
- 甘味が増す
- 粘度の向上
- 砂糖の持つ吸水性
甘みが増す
まずは甘味が増します。
きっと生クリームに砂糖を加える理由とは?と聞かれて多くの人が真っ先に思うのが、甘味をつけるためでしょう。
実際に生クリームに砂糖を加える理由として、甘味をつけるためというのは大きいです。
先ほどの生クリームに砂糖を加えたクリーム・フエテと砂糖を加えたクレームシャンティイは、甘味が加わるか加わらないだけで生クリームの風味やコクに大きく影響を与えるため、味わいだけでなく使用用途も異なります。
粘度の向上
また砂糖を生クリームに加えると粘度が増します。
生クリームに砂糖が溶けることで、シロップのような粘りが少し加わった状態となり、生クリームの表面にツヤが出ます。
さらに生クリームの粘度が上昇することで、扱いやすさが飛躍的アップします。
粘度がないと土台がぐらつく原因に
ショートケーキなどで生クリームを使用してデコレーションする際、生地と生地との間に生クリームを挟んだり、表面や側面にクリームを塗ったり、口金を使用してクリームを絞ってデコレーションを行います。
この際、使用する生クリームに粘度がある程度ないと、生地と生地の間にクリームを挟んだ際に接着性が弱いと不安定な状態となり、この後ケーキの表面や側面にクリームを塗っていく際に土台がぐらついてしまいうまく塗れなくなることに繋がります。
間に挟むフルーツも滑りやすく、デコレーションまでうまくいっても、ケーキをカットする際にとても切りにくく、崩れやすくなってしまいます。
表面やとくに側面などにクリームを塗る際も、伸びが良くないと生クリームがバサついてしまったり、ホイップしたクリームが生地に張り付きにくくなることで、綺麗に塗ることが困難になります。
ショートケーキのナペが失敗してしまう理由にも
生クリームなどのクリームをパレットナイフを使用して、ケーキの表面や側面などに塗ったりすることをナペとよぶのですが、ナペがどうしてもうまくいかない人で生クリームに砂糖を減らしていることが原因であることも少なくないです。
塗るのに手こずってしまうと何度も生クリームを触ることに繋がり、クリームがばさつき、時間がかかり生クリームの品質が劣化してしまうため美味しさの面でも影響します。
砂糖をできるだけ減らしたい気持ちはわかりますが、砂糖を加えることでツヤも生まれますし、出来栄えに大きく差が出るため、慣れていない場合には砂糖の分量は通常通りが望ましいです。
デコレーションにも影響
口金を使用して生クリームを絞る際には、絞るクリームと生地との接着点が離れやすかったり、ツヤが出なかったり、きれいな形に保形されないなどの要因となります。
粘度が弱いと角度のある面に口金を使用して絞っても、すぐに剥がれてしまうため、ケーキの側面にデコレーションすることは困難となります。
とくに細かいデコレーションを行う際に、生クリームに加える砂糖の量を少なめしてしまうと非常に扱いにくくなるので注意が必要です。
砂糖の持つ吸水性
砂糖の性質である吸湿性によって、生クリームの分離が起こりにくくなります。
生クリームが泡立ちすぎた場合、分離を起こし表面がぼそぼそとした状態になりますが、分離を起こす際に排出される水分を砂糖の吸水性によって排出された水分と砂糖が結びつくため、分離を起こしにくくなります。
これはクリームを塗る際にも起こり、パレットナイフを使用して生クリームを塗る際に、触る回数が多いほど、生クリームにはダメージとなり、ぼそぼそとした状態へと変化します。
時間の経過によっても生クリームの品質は落ちていくため、砂糖による吸水性はショートケーキなどをつくる際の生クリームにとって非常に重要なのです。
生クリームに加える砂糖の量が多いと?
砂糖の量が多いと生クリームを泡立てる際に、気泡を含みにくくなります。
結果的に生クリームが緩くなってしまうので、保形する固さに調整することが難しくなります。
とくに生クリームを絞りを使用してデコレ―ションする際は、だれやすく形をキープするのが難しくなるため、生クリームに加える砂糖の量を多くしたい場合も注意が必要です。
砂糖を生クリームの10%以上を加える場合、絞る際には保形性に不安があるため、砂糖の量を多くする場合、使用用途には注意が必要です。
砂糖の種類
基本的に生クリームに加える砂糖の種類にとくに指定はありません。
砂糖にも種類によって、クセや風味などに違いはありますが、生クリームのコクや風味が強いため、個人的にもあまり差は少ないかと。
どの砂糖を使っても良いですが、溶けやすさを重視して粉砂糖を使用するのがクレーム・シャンティイを作る場合には向いています。
粉砂糖とはグラニュー糖をさらに粒子を細かくしたもので、生クリームに加えた際にすばやく溶けるため好ましいのです。
ほかにも製菓用グラニュー糖も細かく溶けやすく作られているため、おすすめです。
砂糖を入れるタイミング
生クリームに砂糖を加える場合は、生クリームを泡立てる前に最初に砂糖を加えてください。
ただ砂糖を加えていない状態の生クリームのほうが、泡立てた際に空気を含みやすくなるため、少し泡立てた後に砂糖を加えるときもあります。
しかしその場合には溶けやすい砂糖であることが条件になります。
一般的なグラニュー糖などを加える場合には、泡立てた後に加えても溶け切りにくいため、泡立てる前に砂糖を加えて、泡だて器で軽く生クリーム全体を混ぜて砂糖を溶かしておきましょう。
入れ忘れてしまった場合
十分に泡立ててしまった後からだと、砂糖を加えても溶けにくく混ざりにくい状態です。
砂糖が溶け切らないと、砂糖が溶け切らずに残った砂糖によってざらざらとした口当たりになってしまいます。
砂糖が全体に混ざりきらず、甘さにムラができてしまうこともあります。
また無理に生クリームを泡立てすぎると分離を起こしてしまうため注意が必要です。
対処法としては
もし分離をすぐに起こさない生クリームの泡立て状況であれば、砂糖をなるべく分散させて加えて、空気を含ませずにゆっくりと全体をなじませるように混ぜてみると良いでしょう。
また別に液体の状態の生クリームを用意して、先ほどの入れ忘れた分量の砂糖を溶かし、泡立てた生クリームに加えて混ぜ合わせることで安全に加えることもできます。
デコレーションなどに使用しない場合など、使用するお菓子によって、生クリームは無糖のままで、クリームに合わせる生地を甘めにしたり、シロップなどを合わせるなど別の対処をすると、また違った味に感じられるかと思います。