オーブンから出したスポンジケーキはとてもデリケートです。
せっかくのよく膨らんで焼きあがった生地がへこんだりつぶれてしまっては苦労して作ったのにがっかりですよね。
オーブンから出したてのスポンジケーキはもろく壊れやすいため、慎重に扱うことが大切です。
正しい方法で冷ますことで、形の整ったスポンジケーキを目指しましょう
焼き上げた後の対処
焼きあがったスポンジケーキをオーブンから出した後の対処について紹介します。
型を打ちつけて水蒸気を抜く
スポンジケーキが上手に焼きあがったら、オーブンから出してからすぐに作業していた台の上に生地の入った型を打ちつけます。
作業台の上から15センチぐらいの高さから落とすように型の底部分を打ちつけて下さい。
この時、上から落として衝撃を与えることで生地の内部にあった水蒸気を外に逃がすことができます。
なぜ水蒸気を逃がす必要があるのかというと、水蒸気が生地の中に残った状態のままスポンジケーキを冷ましてしまうと水蒸気が生地の内部にこもってしまいます。
焼きあがったばかりのスポンジケーキの内部はまだ柔らかく非常につぶれやすい状態のため、水蒸気を逃がさないとへこみができてしまう原因になります。
深さのある型で作るほど水蒸気が生地から逃げにくいため、この作業を忘れないように注意が必要です。
プレートに薄く流し入れて焼き上げるシート生地などでは、基本的に水蒸気が逃げやすいので必要ありません。
型からはずして冷ます
型からスポンジケーキを取り出します。
型紙を敷いている場合では、比較的簡単に型から外せるはずなので軍手や布巾などを使って、型を裏返すようにスライドさせながら生地を取り出します。
生地の側面部分の型紙が、型から見えている場合は型紙をつまむようにして、優しく型から取り出します。
ここではスポンジケーキを強く押さないように心掛けながら優しく扱うようにしましょう。
その後クーラーや板などの上で冷まします。
天地を変える
天地を変えるとは上下を入れ替える…つまり裏返した状態にする
冷ます際には膨らんだ表面が下になるように裏返してクーラーや板などの上で冷まします。
天地を入れ替えることで
スポンジケーキの生地はオーブンの中で加熱されることで、生地の内部にある気泡が水蒸気となって膨張して生地を膨らませます。
スポンジケーキの型には上部にしか逃げ場がないため、膨張した気泡は上部に向かって膨らみます。
そのためはやく膨らんだ気泡ほど上部のほうに集まっていき、底の方の気泡はその重みを受けてつぶれやすい状態で焼きあがると考えられます。
焼きあがった生地をひっくり返して冷ますことで、底の気泡が冷ます際につぶれにくくなり、スポンジケーキ全体のきめをそろえることができるのです。
きめをそろえることで表面をへこみにくくすることにもつながります。
スポンジケーキの上に紙をのせる
スポンジケーキでは、なるべく生地を乾燥させないようにすることが大切で、冷ます際には普通紙などで良いので紙をスポンジケーキの上にのせて冷まします。
固く絞った濡れ布巾でも構いません。
表面積が多い生地ほど生地が早く乾燥しやすいので、上に紙をのせることを忘れずにしましょう。 ロールケーキに使う生地などの薄い生地の場合はとくにです。
型紙や敷き紙はスポンジ生地にくっついている状態のまま冷ましてください
冷まし方
基本的にスポンジ生地を冷ます際には、室温で冷ましていきます。
夏場で室温が高い場合や湿度が高い場合などでは冷めるまで時間がかかることがあります。
生地の粗熱が取れるまで室温で冷まします。
水分が飛ばないように
注意点したい点としてはやく冷まそうと、扇風機などを使って風を当てて冷まさないでください。
風を送ることで早く冷ますことができますが、生地のなかにある水分が飛びやすくなってしまうためです。
風が直接当たらないような場所で、風通しが良い程度であれば適した状態の冷まし方といえます。
また冷めていない状態で冷蔵庫で冷ますのも避けたいです。
冷蔵庫内部は水分が蒸発しやすい環境であるため、室温で冷ます際よりも乾燥しやすいからです。
粗熱が取れたら
生地の粗熱が取れているか確認する方法として、手で生地の表面に軽く触れてみてください。
生地の表面や底を優しく触れて温度を確認してみて温かさを感じなければ大丈夫です。
乾燥を防ぐ
生地の粗熱がとれていることを確認してからスポンジケーキを乾燥させないようにします。
基本的にはスポンジケーキを大きめのビニールの袋に入れる、またはラップなどでしっかりと生地を包みます。
スポンジケーキはそのまま置いておくと乾燥してパサパサとした生地になってしまいますので、必ず袋などに入れてぴったりと封をして生地に空気を触れないようにしましょう。
冷めた後
基本的にスポンジケーキは焼き上げたその日のうちに加工するのであれば、冷蔵庫でなく常温で保存することが可能です。
夏場や室温が高い場合は状況に応じて冷蔵庫で保存
2日程度であれば保存することが可能ですが、焼き上げたその日に加工しない場合には冷蔵庫で保存するようにしてください。
味や風味の劣化を防ぐためや安全上の問題から、焼き上げた次の日に加工するのが好ましいです。
そのまま加工する場合
粗熱が取れていれば、その後スポンジケーキを加工することは基本的には可能です。
焼きあがって間もないスポンジケーキは柔らかい状態のため、スライスなどの加工がしにくかったり、クリームなどを挟んだりデコレーションに使用した場合、その重みで下部分の生地が押しつぶれてしまう可能性があります。
また生地表面の粗熱が取れていても、中心部分はまだ熱を持っている場合があります。
この状態でスポンジケーキを加工すると、合わせるクリームなどがだれてしまったり、状態が悪くなってしまうことが起こるため、作るお菓子に合わせてスポンジケーキを冷蔵庫入れるなどして十分に冷やすなど調整することが大切です。
生地を寝かせてみるのもあり
主にスポンジケーキはしっとりとした生地が好まれるため、半日できれば1日ほど寝かして生地を落ち着かせることをおすすめします。
その場合、しっとりとした生地になるだけでなくスポンジケーキの中の水分量が均一になってスライスなどの作業がしやすくなるなど加工のしやすい生地になります。
ショートケーキなどを作る場合は、前日に生地を焼き上げてから冷蔵庫で一晩冷やしてから次の日にスライスやショートケーキの組み立てをするほうが作業もしやすく、美味しく作れるといわれています。
冷蔵庫で冷やす場合
冷蔵庫では乾燥しやすいため、スポンジケーキを保存する際も乾燥しないようビニール袋やラップなどで包んだりして空気に触れないようにしましょう。
スポンジケーキは柔らかいため、冷蔵庫で冷やしている際や取り出すときに変形したり、傷つけたりしないために出来れば深さのある容器に生地を入れてからビニールの袋で包むようにして冷やすとなお良いです。
型紙や敷き紙
生地に型紙や敷き紙がついた状態で保存します。
焼きあがったばかりの生地は柔らかく、もろく壊れやすい状態のため、生地についている型紙や敷き紙を外す際に傷つけてしまう可能性があるため、そのままの状態で冷ましましょう。
型紙や敷き紙は生地の水分が飛ぶのを防ぐ効果をもたらしているため、スライスや加工する寸前に外して使うことが一般的です。
まとめ
オーブンから出したばかりの状態のスポンジケーキの内部には、まだ余熱が残っており変化しやすい状態であるといえます。
綺麗に焼きあがっても、オーブンから出して後に表面にへこみやくぼみができてしまう可能性が残っているということです。
それを防ぐためにも適切な方法で冷ますようにしましょう。
気泡のきめがきれいにそろった状態の生地は、出来上がりの見た目や食感に直接的に影響してくるため、最後まで丁寧に扱って冷めるのを待ちましょう。