共立てで全卵を泡立てる際に湯煎をするのはなぜ?湯煎する温度とコツ

共立て法を使ってスポンジ生地をつくるには、湯せんが必要になります。

はじめて作る方は、湯せんするのがめんどくさいなぁ…と思われるかもしれません。

しかし、そのまま卵を泡立てた場合と湯せんを使って卵を泡立てた場合とでは、

最初に湯せんをしてけば良かった…とあとで後悔してしまうくらい変わってしまいます。

そんな共立て法での湯せんをする必要がある理由や最適な湯せん方法について紹介したいと思います。

なぜ共立て法では湯せんを使って卵を温めるのか

卵は直接加熱すると火が通ってしまいます。

そのため湯せんを使って卵の温度を間接的に上げていきます。

湯を通した間接的な加熱になるため、ゆっくりと均一に温度が上がりやすいため、湯せんはお菓子づくりではよく使われる手法になります。

卵黄が泡立ちを抑えてしまう

卵の中身には主に卵黄と卵白に分かれています。

全卵を泡立てるということは卵黄と卵白を一緒に泡立てることになります。

卵黄と卵白には、どちらも泡立てることで空気を取り込む性質を持っているのですが

卵黄には油分が含まれており、この油分が卵の泡立ちを邪魔してしまい気泡をできにくくしてしまいます。

そのため卵黄のみや卵黄を含んだ全卵を泡立てた際には、卵白のみを泡立てる時よりも泡立ちにくく、泡立てるために長い時間強い泡立てる力が必要になってしまいます。

全卵を泡立てやすくするには卵を常温よりも高い温度にすること

卵黄を含んでいる全卵はとにかく泡立ちにくいため、少しでも泡立ちをよくする必要があります。

卵には温度が高いほうが泡立ちがよくなる性質があり、そこで湯せんを利用します。

湯せんを使って温めることで、卵の温度をゆっくりと上げていきます。

泡立てる前に、あらかじめ全卵の温度を上げておくことで、卵の表面張力を弱めて空気を含ませやすくするのです。

そのため全卵を温めることによって卵黄が含まれていても、十分に泡立てることができるようになります。

十分に気泡を含んだスポンジケーキを作るためには、全卵を泡立ちやすい温度に設定することが必要不可欠になります。

湯せんを使って温める

スポンジケーキを作る際の共立て法では、まず最初に卵を割り入れたボウルを湯せんにかけて温めてから泡立てることが基本になります。

卵を温めてから泡立てることが共立て法では重要なポイントであり、

温めた卵を泡立てて作ることから温製法とも呼ばれます。

湯せんをする際の準備

まず卵を泡立てるボウルよりもひとまわり大きな鍋などを用意します。

その鍋にボウルの底が浸かるぐらいまで水またはお湯を入れてください。

湯せんに使う鍋に入れる水の温度は60度前後を目安に、火にかけて加熱するかお湯を加えて温度を調節してください。

湯せんのお湯の設定温度

湯せんのお湯の温度は60℃~70℃ぐらいが適しています。

湯せんのお湯を沸騰させてしまった場合には、水を加えて温度を下げて調整しましょう。

あまり温度が高いと卵に熱が強く伝わってしまい、湯せんをした状態でも固まってしまう可能性があるためです。

湯せんのお湯の温度は高くても80℃くらいにおさえましょう。

その場合は卵に火が通って固まりができてしまいやすくなるため、ボウルの中の入れた卵に砂糖を加えて溶けるまで泡だて器でほぐしてから、湯せんにかけましょう。

砂糖と卵が混ざることで、卵に火が通りにくくなり固まるのを防ぎます

卵は常温に戻しておくこと

お菓子作りでは、基本的に卵は常温に戻したものを使うことが常識になっています。

初心者でも作りやすいレシピの場合は、使う卵の温度について指定して書かれていると思いますが、状況に適した温度の材料を選んで使うことが大切です。

全卵の入ったボウルを湯せんにかける

まず卵を入れ軽く混ぜ合わせたボウルの底を湯せんにかけながら、泡だて器で軽く混ぜながら温めていきます。

全卵を泡立てる際に温度は36℃前後が全卵を泡立てるのに適した温度とされ、湯せんをする際は人肌程度の温度を目安に全卵を温めます。

36℃よりも温度が高いと、泡立ちやすくはなるのですが、空気を一度に取り込みすぎて一つ一つの気泡が大きくなってしまい、結果的に焼きあがった生地はきめの粗いものになってしまいやすくなります。

そのため36℃前後が全卵を泡立てるうえで、バランスの取れた温度とされています。

36℃はあくまでも目安

コツとしては38℃~40℃くらいのすこし高めの温度にしてみてもいいと思います。

湯せんからはずして泡立て始めるまでに室温や時間によって冷めされて温度が低くなるためです。

また泡立てるミキサーの摩擦熱や使うミキサーの種類、作る時期などでも温度変化が生まれ、差が生じます。

泡立ちやすさを重視する際は、40℃~50℃付近まで温める場合もあり、あくまでも基本的なスポンジケーキを作る場合の目安の温度として36℃に設定しています。

湯せんで温める際の注意点やポイント

泡だて器を使う

湯せんにかけながら温める際は、泡だて器で軽く混ぜながら温度計を使って36℃前後になるように温めていきます。

ボウルにお湯が触れている底面や側面付近から温度が上がっていくため、

湯せんにかけている間に泡だて器で軽く混ぜることで、卵全体にムラなく温度を上げることにつながります。

うっかりと卵の入ったボウルを湯せんにかけたままにして離れないようにしましょう。

お菓子作りで全卵などを湯せんにかけて温める場合は、均一に温度を上げていくことが大切になります。

砂糖を加えてから湯せんにかけよう

卵に砂糖を加えてから、湯せんにかけることで卵に火が通りにくくなります。

使用しているボウルの材質や火の加減により湯せんの温度が高い場合などによって卵に熱が伝わってしまうことを防ぐためにも、忘れずに加えておきます。

また卵を温めることで泡立ちやすくなる一方、泡立ててできた気泡が壊れやすくなるなど気泡の安定性が悪くなるため、最初に砂糖を加えることで気泡の安定性を高める効果があります。

砂糖を加えたらすぐに混ぜる

砂糖を全卵が入ったボウルに加えたら、すぐに泡だて器で混ぜて溶かすようにしましょう。

砂糖を加えたまま溶かさずに放置してしまっていると砂糖が卵の水分を吸収して固まってしまいます。

砂糖が固まりの状態では砂糖が生地に溶けにくくなり、焼きあがったスポンジケーキの食感がざらざらとしたものになることもあるので注意しましょう。

湯せんにかけながら泡立てすぎない

湯せんで温めながら泡立てると温度が高い状態を保つことができるため、全卵を泡立てやすい状態なのですが、基本的に湯せんで温める際は軽く混ぜることを心掛けてください。

温めながら泡立てすぎると卵のコシが完全に切れてしまい気泡の安定性が悪くきめの粗い気泡の状態になってしまい、結果として膨らみの悪いスポンジケーキになってしまう可能性が高くなるからです。

湯せんが終わったらボウルの底を拭くこと

湯せんから外したボウルの底には水滴がついているので布巾などで拭くようにしましょう。

万が一ボウルの中に水滴が入ってしまうと、全卵の泡立ちを悪くしていまうので湯せんから外す際には布巾などを用意しておきましょう。

まとめ

温度調整はすこしめんどくさいかもしれませんが、共立て方では全卵の泡立ちが成功のカギを握ります。

全卵の温度管理をしっかりと行うことで、これからの作業をグッと楽になるため、温度調節は行うようにしましょう。

失敗を減らすだけでなく、良い出来上がりのスポンジケーキにするためにも最初に泡立てる全卵の温度は大切です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする