ファットブルームとシュガーブルームの違い?原因やチョコの見た目は異なる?

ブルームとは

ブルーム現象、またはブルーミング現象とも呼ばれ、チョコレートの表面が白くなる劣化現象のことを言います。

ブルームは英語で、植物の花が咲く様子などの意味でよく使われますが、果実や植物の葉などにつく白い粉という意味でもあり、チョコレートの場合こちらの白い粉が着く様子からブルームと呼ばれています。

チョコレートが変質してしまった状態を表しており、ツヤがなくなり、白く濁った表面へと変化します。

ただし、チョコレートがブルーム現象を起こして表面が白くなっても、食べられなくなるわけではありません。

見た目が悪くなるだけではない

見た目だけでなく、味にも大きく影響をもたらします。

ブルーム現象を起こしたチョコレートは、なめらかさが悪くなり、舌触りがぼそぼそとした食感へと変化します。

またチョコレート特有の風味が落ち、香りも減少するため、見た目が悪くなるだけでなく、美味しさにも大きく影響を与える劣化現象なのです。

ブルームの種類

ブルーム現象は、主に2種類に分類されます。

ファットブルームとシュガーブルームです。

この2種類は、同じチョコレートの劣化現象ですが、要因となる原因や表面の状態は異なっています。

ファットブルームとは

ファットブルームのファットとは、油の意味。

チョコレートには、ココアバターと呼ばれるカカオ由来の油脂分が多く含まれており、ファットの油は、このココアバターのことを指します。

チョコレートに含まれていたココアバターが表面へと浮き出ることで、つやがなくなり、白く濁ったような状態へと変化することを、ファットブルームと言います。

ファットブルームの原因

ファットブルームを引き起こす要因として、チョコレートの製作工程や保存状態などが挙げられるのですが、ファットブルームの主な原因は温度にあります。

ココアバターは冷えて固まる際、結晶化をしているのですが、理想的な温度以外で冷やし固めてしまうと、ココアバターが安定性の悪い形で結晶化してしまうのです。

ココアバターの結晶が不揃いな形で冷やし固まる、または結晶が不安定な状態にあると、より安定した結晶の形へと変化しようとするのですが、その際に結晶の大きさが大きくなります。

ココアバターの結晶が安定性の高い形へと変化する際、チョコレートが冷えて固まって密度が高くなっていきます。

すると大きなココアバターの結晶は外側へと押し出される形となって、チョコレートの表面へと浮き上がってきます。

このココアバターの大きな結晶がチョコレートの表面に浮き出て、白く濁った状態になることをファットブルームと呼びます。

  • 理想的な温度に調節するテンパリング作業がきちんと行えていない。
  • チョコレートが溶けて、再度冷え固まった。など

上記のようなチョコレートの温度管理が不十分だったり、高い温度にさらされて一度溶けてしまった場合の後、ココアバターの結晶構造が不安定な状態で冷え固まることで、チョコレートの表面にファットブルームを引き起こします。

ファットブルームの特徴

ファットブルームは、チョコレートの表面にココアバターが浮き出ることで、カビが生えたような白い膜が張ったような状態になるのが特徴。

表面に浮き出た結晶の大きさが大きいため、光が乱反射を起こし色が白っぽく見えている。

チョコレート特有のつやがなくなくなるのも、結晶が大きくなり、表面のきめが粗くなるためです。

結晶の粗さは食べる際にも影響を及ぼし、チョコレートの舌触りはざらざらとした食感となり、なめらかさが悪くなります。

また安定性の高い結晶は、融解温度も高くなるため、口の中で溶けにくいチョコレートとなり、くちどけが悪くなります。

シュガーブルームとは

シュガーブルームとはシュガー、砂糖が要因となるブルーム現象をいいます。

表面の白い粉の正体は、チョコレートに含まれていた砂糖です。

砂糖が表面に残ることで、ざらざらとした舌触りとなり、なめらかさが悪くなります。

シュガーブルームの原因

ファットブルーム同様に様々な要因が考えられますが、シュガーブルームの主な原因は水分です。

チョコレートに水分が混ざってしまったり、水滴となって表面に付着した場合に起こる現象がシュガーブルームです。

チョコレートに水分が混入して一定時間放置すると、チョコレートに含まれている砂糖が水分へと溶け出します。

砂糖は水分に誘引されて溶けだす形となって、チョコレート内部から表面へと染み出してしまうのです。

砂糖を含んだ水分がチョコレート表面へと染み出した後、水分だけが乾燥して蒸発することで、表面には砂糖のみが残された状態となり、それがシュガーブルームとなります。

  • 湿度の高い環境下で保存
  • 急激な温度変化による結露 など

上記のようなチョコレートの湿度管理が不十分であったり、誤って水分が混入してしまった場合、チョコレートに含まれている砂糖がその水分を吸湿しようとして、表面に溶けだしてしまうことでシュガーブルームを引き起こします。

シュガーブルームの特徴

シュガーブルームの特徴は、表面に浮き出て水分が乾燥することで再結晶化した砂糖です。

ファットブルーム同様に光の乱反射によって砂糖の結晶が白く見えて、表面のつやがなくなります。

水分が蒸発することで、砂糖のみが分散して表面に残されるため、白い斑点がいくつも現れるのが特徴で、チョコレートが白い粉に包まれたような見た目となります。

シュガーブルームでも、砂糖が溶けだすことでチョコレート内部が変質し、食感やくちどけ、風味などが品質が劣化した状態となります。

ファットブルームとシュガーブルームの違い

ファットブルームはココアバターの結晶がチョコレートの表面に浮き出た状態であり、チョコレートの構造自体が熱によって変化することで起こる現象。

シュガーブルームは砂糖がチョコレートの表面に浮き出た状態であるため、湿度などを原因とした水分によってチョコレートが変質させられる現象。

ファットブルームの場合、チョコレート内部でも結晶が不揃いな状態にあるため、白く濁ったような見た目に現れることが多く、シュガーブルームの場合は、水分が接触した表面に結晶化した砂糖が小さな点のようにいくつも現れます。

しかしブルームを起こすと表面のつやが失われるため、ファットブルームとシュガーブルームの違いを見た目だけで正確に見分けるのはとても難しいものとなります。

手や指でブルームに直接触れてみることで、簡単に見分けることが可能となります。

ファットブルームの場合、触れた手や指の体温によって、表面のココアバターの結晶が温まられ結晶化が溶けることで、一時的に元のチョコレート色へと戻ります。

ブルームを防ぐためには

ブルームを防ぐために、適切な温度調節でのテンパリング作業や水分が混入しないことが大切で、保存状態に関しても適切な温度や湿度管理が欠かせません。

チョコレートに含まれているココアバターは、基本的に温度が28℃を超えたあたりから結晶構造が変化します。

一度でも超えてしまうと、ココアバターの結晶は元の形には戻りません。

製造時や保存の際だけでなく、販売されている際や輸送時などの管理状態も、ブルーム現象が起こる要因となります。

理想としては温度が20℃以下、湿度50%以下の状態を維持できることが、チョコレートにとって品質を維持するのに望ましい環境といえます。

チョコレートは想像以上にデリケートな食品であるため、品質を保つためにはとくに温度と湿度に関しては気をつけましょう。

ブルームを治すことは可能か?

ブルームを治すには、チョコレートを一度溶かして、適切な温度調節を行ってから再度冷やし固めることが必要となります。

そのため加工されたチョコレートの場合、ブルームが起きたチョコレートを元の状態へと戻すことは厳しいです。

またファットブルームの場合は、再度テンパリング作業を行うことで元のチョコレートの状態へと戻してやりなおすことが可能ですが、シュガーブルームの場合は、砂糖がチョコレートから一度離れて再結晶化してしまっているので、テンパリング作業でのやり直しがききません。

他にテンパリングを行わないで作ることが可能なガナッシュや生チョコレート、溶かしてホットチョコレートにするなどの利用方法もあります。

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