プラリネとはどんな意味?プラリーヌと似ていて本当に紛らわしい理由

プラリネを知っていますか?

このプラリネはお菓子でもあり、製菓材料でもあり説明するのが難しいのです。

さらにプラリネと似ているお菓子にプラリーヌがあったりと、このプラリネを知れば知るほどややこしく、パティシエの中でもよく分かっていない人は実は多いのです。

なぜややこしいのか?

勘違いしやすいというか紛らわしい?とにかくややこしいのです。

今回はそんなプラリネとプラリーヌの意味について詳しくまとめてみようかなと思います。

でもその前に、まずは基本的なプラリネやプラリーヌ、またプラランの意味について解説していきましょう。

プラリーヌの意味

プラリーヌとは、ロースト処理をしたアーモンドに砂糖や糖液を加えて加熱することで砂糖を結晶化させ、アーモンドのまわりに厚くコーティングした砂糖菓子のことを指します。

プラリーヌの発祥は17世紀、当時ルイ13世がフランスの国王に即位していた時代、プレシ=プララン公爵という貴族の専属の料理人として仕えていたクレマン・ラサーニュという方によって考案されたお菓子。

プラリーヌの名前の由来

このプラリーヌの名前の由来は、主人であるプララン公爵の名前にちなんで名付けられました。(フランス語の名詞では男性形と女性形があり、プラランを女性形に変わる際、語尾にeがつけられるのですが、このとき語尾の発音も変わるためプラリーヌとなります。)

プラリーヌの美味しさはたちまち人気となり、フランス全土へと広がって様々な進化を重ねてバリエーションを増やしていきました。

次第にプラリーヌはフランスの代表的なお菓子として根付いてゆき、名前は全国へと浸透していったのです。

赤いプラリーヌ?

とくに糖衣掛けのアーモンドであるプラリーヌには、赤やピンク色に色づけされた種類があり、プラリーヌ・ルージュ、またはプラリーヌ・ロゼ(フランス語でルージュとは赤い、ロゼとは薔薇の意味でピンク色を指します。)などと呼ばれており、フランスのリヨンでは名物となるほど有名な伝統的な郷土菓子としても位置づけられています。

またお菓子ではなく、花にもプラリーヌ・ルージュという名前の薔薇があったりします。由来は関係しているかは分かりませんが…。

ちなみに糖衣とは、名前の通り砂糖の衣をまとわせるように、加えた砂糖とともに加熱することで砂糖を結晶化させ、ナッツなどの核となるものの表面をコーティングしたものをいいます。

プラリネの意味

プラリネとは、基本的にプラリネペーストのことを指します。

プラリネペーストとは、ロースト処理をしたアーモンドやヘーゼルナッツなどのナッツ類に砂糖などを加えてキャラメリゼしたものを、ローラーで挽くなどをしてすり潰し、ペースト状にして加工したものです。

主に製菓材料として用いられ、生地やクリームに混ぜて使用したり、ボンボンショコラの中身にも使用されます。

プラリネクリームを使用する洋生菓子としては、パリ・ブレストなどが有名です。

プラリネはプラリーヌの派生?

先ほどのアーモンドに糖衣掛けして作られるプラリーヌは、時代とともに作り方に変化が加えられました。

アーモンドとシロップを合わせたものをカラメル状になるまで煮詰め、さらにそれをローラーで挽いてペースト状にして作られたものこそが、プラリネ(プラリネペースト)の最初の形とされており、

プラリーヌに似たプラリネという名で呼ばれるのも、砂糖菓子のプラリーヌから派生しているためとされています。

プラランの意味

ここでいうプラランとは、先ほどのプラリーヌやプラリネの名前の由来となったプララン公爵のことではなく、製菓材料のことを指しています。

プラランはプラリネ同様にプラリーヌの作り方から派生して作られたとされているため、プラリネやプラリーヌと共通している、または似ている点が多くあり、定義が曖昧であることから違いが分かりにくく、また混同されていることがあります。

基本的なプラランの作り方

基本的には、アーモンドやヘーゼルナッツなどのナッツ類を使用し、加熱されたシロップの入った鍋に加えて混ぜ、絡め合わせたものを一度取り出し、薄く広げて冷まし固まった後、叩いたり挽いたりなどして衝撃を与え、細かくなるまで砕かれたもののことをプラランと呼んでいます。

ここまでのプラリーヌとプラリネの違い

プラリーヌは、アーモンドに糖衣掛けという砂糖の再結晶化を利用して表面をコーティングしたものが始まりとされ、さまざまな色や香りづけをされたものからキャラメリゼされたプラリーヌまで種類にバリエーションがありますが、一般的にアーモンドの形状を留めたまま砂糖でコーティングされた砂糖菓子のことをプラリーヌと呼びます。

プラリネの場合は、基本的にアーモンドやヘーゼルナッツをキャラメリゼしたものをペースト状のものを指しており、アーモンド以外のナッツを使用して作られたものも含まれます。

砂糖菓子であるプラリーヌの場合、アーモンドをホールのまま表面を糖液でコーティングされたものであるのに対して、プラリネの場合はペースト状のため、しっかりと2つの意味を知っていれば、見た目では混同することは少ないかと思います。

またプラランの場合は製法や糖衣の種類によって違いはあるのですが、基本的に飴がけしたナッツ類を粒状に砕いたものを指します。…がプラリーヌやプラリネと混同されて表記されることがあります。

しかしプラリーヌとプラリネはややこしいといわれるのは、ここからです。

(さらにややこしくなっているのは下記の様々な要因が関係していることが…)

プラリネとプラリーヌの違いがややこしい要因? 

ボンボンショコラの呼び方では、プラリーヌという呼ばれることがあるのはご存知でしょうか。

ボンボンショコラの由来

ボンボンショコラとは簡単に説明すると、主にガナッシュなどのクリームを中身として使用し、周りをチョコレートで包まれるように覆われている一粒台のチョコレートのこと。

もともとベルギーにあるチョコレートショップのノイハウスの3代目店主だったジャン・ノイハウスによって、クリームなどをチョコレートの中に閉じ込める製法が考案され、ボンボンショコラの元となる一粒チョコレートが誕生しました。

その際、ジャン・ノイハウスは一粒チョコレートのことボンボンショコラではなく、プラリーヌと命名しました。

このボンボンショコラのプラリーヌは、先ほどの砂糖菓子のプラリーヌやプラリネの由来同様、美食家だったプララン公爵の名前に由来していることが知られており、プラリーヌ(ボンボンショコラ)の中身にプラリネを使用して作られていたことからなど、このプラリーヌの由来も諸説あります。

ボンボンショコラとプラリーヌ

しかし一粒チョコレートのプラリーヌがフランスに伝わった際、すでにフランスには砂糖菓子のプラリーヌが広まっており、プラリーヌといえばアーモンドを糖衣掛けされたものを思い浮かべる人が多かったとされています。

そこで名前の混同を防ぐためか、一粒チョコレートのことをフランスではプラリーヌではなく、ボンボンショコラという呼び方へと変えて広まっていったとされています。

そのため現在でもベルギーをはじめとした一部の国々では、ボンボンショコラのことをプラリーヌと呼んでいる地域があるのです。

プラリネと呼ばれていることも

ボンボンショコラとプラリーヌの2つの名前が存在するのですが、他の国によっても名前が異なり、スイスやドイツなどでは、ドイツ語のプラリーネンが使用されています。

さらに問題なのは、フランス語圏の一部の地域ではプラリネと呼んでいる地域が存在するらしく、ボンボンショコラなのか?プラリネなのか?それともプラリーヌなのか?地域によって一粒チョコレートを指す言葉や意味が異なっているのです。

一粒チョコレートの中身(フィリング)のプラリネ

またボンボンショコラの中身としてプラリネが使用されていることも、名前を混同しやすい要因でもあります。

一粒チョコレートの中身に使用されているフィリングが、プラリネでもガナッシュクリームでも、ボンボンショコラやプラリーヌと呼びます。

ボンボンショコラの中身のことをガナッシュクリームだと思っている人や中身にプラリネを使用することを知らない人(初見の人はとくに)は意外と多く、プラリネの意味がよく分からずに知らず知らずのうちに、勘違いしてしまっていることも多いのです。

日本語でのプラリーヌとプラリネの表記と発音 

さらにフランス語のプラリネやプラリーヌのスペルは、国や発音の仕方によって表記が異なることがあり、日本も例外ではありません。

つまりプラリーヌやプラリネを日本語で表す際に、フランス語の発音なのか?ドイツ語の発音をするのか?どちらかに由来するかによってプラリーヌともプラリネとも読めるため、それぞれ日本での読み方が異なってしまうことがあるのです。

さらにそのスペルを日本語表記に変換する際にも、解釈する人によってプラリネかプラリーヌに訳す表記がバラバラになってしまい、違いがさらに分かりにくくなってしまったとされています。

ボンボンショコラはプラリネではない

一例として「ボンボンショコラのことをベルギーではプラリネと呼ぶ」などと日本で表記されたりすることがありますが、一粒チョコレートのことを指すのはボンボンショコラかプラリーヌであり、基本的にプラリネとは呼びません。

  • 単にプラリーヌをプラリネと誤表記してしまっているのか?
  • プラリネと呼んでいる地域があり、その地域のことを指しているのか?
  • 日本語表記に訳す際に、混同してしまった?
  • そもそも勘違いしているのか?など

伝える人や訳す人の解釈によって誤解が生まれてやすい要因ともなっているのです。

お菓子以外の分野でも日本以外の国でも同様に発音の違いによって、似た名前が混同混在していることがありますが、このプラリネやプラリーヌはとくに紛らわしいと感じます。

まとめてみると?

  • プラリーヌの意味は2つ フランスでの砂糖菓子のプラリーヌとベルギーでのボンボンショコラの呼び方。
  • プラリネの意味は基本的にはペースト状のプラリネのことを指し、ボンボンショコラの中身などに使用されている。

しかしボンボンショコラ自体のことをプラリーヌではなく、プラリネと呼んでいることがフランス語圏の一部の地域にあるためか、情報が混雑してしまい曖昧となっている。

  • プラリネとプラランの違いとして、プラランの場合はカラメルというより、飴がけのナッツを冷ました後に叩いて細かく砕いたもの。
  • プラリネの場合はキャラメリゼがけしたナッツ類をローラーで挽いて、すりつぶしてペースト状にしたもの。

作り方に多少違いはあるけれど、基本的にはキャラメリゼされたナッツを細かくペースト状にしたものをプラリネ、細かく砕いたものをプラランと主に呼んでいます。

一粒チョコレートのボンボンショコラとプラリーヌとプラリネ、砂糖菓子のプラリーヌとプラリネとプララン、そして地域によって指す言葉や意味が異なっており、それぞれが曖昧な上に、さらに訳す際の発音や表記の違いが加わっているため、非常にややこしく意味の違いが分かりにくくなっているのです。

まとめようとしたけれど、やっぱりややこしい。

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