テンパリングする意味は4つ?チョコレートに必要不可欠な理由と目的とは

チョコレートを扱う際に欠かせないとされるテンパリング。

名前は知っているけれど、テンパリングの意味についてはよく分からない…なんて方は多いのではないでしょうか?

このテンパリング、チョコレートにとって想像以上に重要な作業なのです。

チョコレートを手作りする方にはもちろん、チョコレートをよく食べる方にも、是非チョコレートの特性を活かすテンパリングという作業を知ってほしい。

今回はそんなテンパリングの意味から目的、そしてチョコレートにどんな影響を与えるのかについて書いていきます。

テンパリングとは

まずテンパリングとは、チョコレートの調温作業のことを指します。

チョコレートには、原料としてカカオマスやココアバター、砂糖、乳成分などが含まれていてそれぞれが混ざった状態にあります。

その内のカカオの油脂分であるココアバターが、冷えて結晶化することで固まり、食べるチョコレートのような固体となります。

他の原料を取り込みながら、ココアバターの結晶がいくつも作られ、互いにそれぞれが結合しあうことで、固体のチョコレートとして存在しているのです。

テンパリングとは、冷やし固める前のチョコレートの温度を調節することで、チョコレートに含まれているココアバターの結晶構造を安定したものに整えるために行う作業です。

テンパリングをして、チョコレートの温度帯を調節することで、より綺麗な状態でチョコレートを冷やし固めることができるのです。

そのため、一度溶けてしまったチョコレートを再度冷やし固める際には、テンパリングは欠かせない作業になります。

なぜテンパリングを行うのか?

ココアバターが冷えて固まる際、結晶の型は大きく6種類に分類されます。

この結晶の型は、それぞれ大きさや形がバラバラで結晶構造も異なっており、さらにココアバターが結晶化する温度帯や安定性も型によって異なります。

テンパリング作業を行って、ココアバターをチョコレートに適した結晶構造に揃えることで、美しく滑らかなチョコレートに仕上げることができるのです。

ココアバターの結晶構造は、チョコレートが一度溶けてしまうと崩れてしまうため、再度テンパリングを行って、結晶構造を整えなおす必要があるのです。

さらにテンパリングを行わないと、チョコレートにとって不都合なことがいくつか起こるため、チョコレートを冷やし固める前には、テンパリングがとても欠かせない作業となります。

テンパリングに欠かせない4つの目的と理由

チョコレートのテンパリングを行う目的は大きく4つが挙げられます。

  1. チョコレートを固めるため
  2. チョコレートの密度を高めるため
  3. チョコレート表面のツヤを出すため
  4. 美味しいチョコレートにするため

上記の目的と理由について説明していきます。

チョコレートを固めるため

チョコレートが温度によって、溶けたり固まったりする現象は、融点と凝固点が関係しています。

融点とは、固体が液体になる温度、つまり溶ける際の温度、凝固点とは液体が固体となる温度、つまり冷えて固まる際の温度のことです。

チョコレートの融点や凝固点は、ココアバターの結晶の型によってそれぞれ異なります。

チョコレートを冷やし固める際に、テンパリングがされておらず結晶の型がチョコレートに適していない場合、チョコレートの融点は高くなったり、低くなったりします。

チョコレートの融点が低い状態だと、本来常温でも冷えて固体となるのに固まるのに時間がかかったり、上手に固まらなかったりします。

さらに融点が低いと溶けやすいため、チョコレートを手に取っただけでも指の熱が伝わって、表面がすぐに溶けてしまうものになってしまいます。

逆に、融点が高い結晶構造の場合では、高い温度で熱を加えないと溶けないため、口の中の温度ではチョコレートが溶けにくく、食べた際に口の中で溶け切らずに残ってしまい、滑らかさやくちどけが悪いものとなります。

室内でチョコレートを手で持っても溶けず、板チョコレートのようにパキっと割ることのできる固さで、口の中に入れるとスッと溶ける条件を満たす結晶構造こそが、理想のチョコレートの特性といえるのです。

チョコレートに適した融点を再現できる結晶構造にするためには、その結晶構造の凝固点で冷やし固めるための温度調節が必要であり、その作業がテンパリングなのです。

つまりテンパリングとは、チョコレートを綺麗な固体な状態へと上手に固める作業というわけです。

チョコレートの密度を高めるため

テンパリングがうまくとれているチョコレートは、密度が高まります。

チョコレートに適した結晶の型は、細かく安定した結晶構造になります。

その結晶構造が、綺麗に均一に揃うことで、冷えた固まる際にチョコレートはきゅっと縮むのです。

このおかげでチョコレートを型に流し入れたり、コーティングして冷やし固めた後、チョコレートが型やプレートから外れやすくなります。

またテンパリングのとれているチョコレートは、高密度で濃縮した状態となるため、食べた際もより滑らかな舌触りとなります。

チョコレートの表面のツヤを出すため

チョコレートのつやつやとした光沢のある表面も、テンパリングが生み出しています。

ココアバターの結晶構造が、細かく均一な形や大きさで揃っていることでチョコレートの表面はつやつやとした滑らかな状態となります。

結晶の型が大きかったり、結晶構造が不揃いのまま冷やし固めてしまうと、チョコレートの表面のツヤは失われてしまい、徐々に白くカビのような模様が浮き出してしまうなど、光沢のない見た目へと変化してしまいます。

そのため、ただ溶かして冷やし固めただけのチョコレートでは、表面の光沢のある美しさは作り出せないため、テンパリングが上手にできているかは、外見を見るだけでも一目瞭然の違いなのです。

チョコレートを美味しくするため

チョコレートはテンパリングを行うことで、美味しさを十分に引き出すことができます。

チョコレートに含まれるココアバターの結晶の大きさや形が均一にそろうことで、他の原料とが分散しながら混ざりあい、食べると口の中でスッとと溶ける口どけ感と滑らかな舌当たりを生み出します。

テンパリングをせず、結晶の型の大きさや形がバラバラの状態のままで、冷えて固まった結晶構造の場合、それぞれの結晶の型によって大きさや融点もバラバラのため、口の中で均一に溶けきらず、くちどけの悪いざらざらとした舌触りとなります。

さらに結晶構造が不安定な場合、チョコレート特有の風味が劣化してしまうため、当然味にも影響します。

風味とくちどけ感は、とくにチョコレートの美味しさにとって重要なポイントであるため、テンパリングが美味しいチョコレートにするための重要な作業となるのです。

以上、テンパリングの欠かせない4つの目的と理由となります。

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