テンパリングの方法の種類には恒温型と昇温型の2種類が存在する?

テンパリング方法の種類?

チョコレートのテンパリング作業は、ココアバターの結晶の型がバラバラで混ざり合った状態から、チョコレートに適した結晶の型にすべて変化させ、均一にそろった結晶構造を作り出すことを目的としています。

そのテンパリングに用いられる方法は、大きく2種類に分けられます。

  1. 恒温型
  2. 昇温型

1つは恒温型と呼ばれるテンパリング方法で、チョコレートの融解温度を一定に維持しながら長時間攪拌していくことで、ゆっくりとココアバターの結晶の型を揃えていく方法。

2つ目は昇温型と呼ばれるテンパリング方法で、チョコレートの温度を変化させながら攪拌することで、ココアバターの結晶構造を短時間で揃えていく方法。

一般的に知られているチョコレートのテンパリングは、2つ目の昇温型であり、大理石や湯せんなどを用いた方法があり、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

恒温型テンパリングの特徴とは?

ココアバターの結晶の型は、チョコレートの温度帯によって作られる型がそれぞれ異なります。

基本的に、チョコレートに適したココアバターの結晶の型が作られる温度帯は約30℃といわれています。(チョコレートに含まれる原材料の種類や量によって変化します。)

大きさや形が異なってバラバラだった結晶の型は、この30℃という温度帯でチョコレートを維持することで、徐々に適した結晶の型へと変化していきます。

この温度帯を維持しながら、チョコレートをゆっくりと攪拌することで、結晶の型を適した大きさや形に変化させていく方法を恒温型テンパリングと呼んでいます。

結晶構造を形成するには時間がかかる

しかしこの恒温型テンパリングの難点があり、それはテンパリング作業に時間がかかることです。

チョコレートを30℃の温度に保ったとしても、ココアバターの不規則な結晶が、すべて適した結晶の型に移行するのに時間を要します。

チョコレートに適した結晶の型にすべて変化させて、安定した結晶構造を作り出すには、恒温型テンパリングでは、とても時間がかかるのです。

そこで昇温型テンパリングです。

昇温型のテンパリングの特徴とは

昇温型のテンパリングは、温度を上昇下降させるなど手順を踏むことで、より短時間でチョコレートに適したココアバターの結晶の型へと形成するための方法です。

結晶の型はチョコレートの維持される温度帯によって変化するといいましたが、結晶の型には種類があります。

温度を巧みに使いこなす?

ココアバター結晶の種類の中には、チョコレートに適した結晶の型に短時間で変化しやすい結晶の型があり、適した結晶の型の元となる核のような存在でもあるのです。

この適した結晶の型に変化しやすい核となる結晶を多く作ることで、その核を中心に結晶が揃っていき、短時間でチョコレートに適した結晶の型へと移行し、結晶構造を揃えることが可能となるのです。

この核となる結晶の型を、多く作るための手順を要して行われる方法が、昇温型テンパリングなのです。

昇温型と恒温型の違いは早さ

恒温型テンパリングは、主に業務用に用いられる方法で、機械によって長時間攪拌することでテンパリングを行っています。

温度管理をしながら長時間攪拌することのできる設備が整っている必要があり、使用できる環境は限られており、大量生産をする工場などで使用されています。

一方、昇温型と呼ばれるテンパリング方法は、一般的に広く知られているテンパリングの方法となります。

昇温型の方法の中でもいくつか種類があり、大理石や湯せんなどを使用したりして、手作業によってチョコレートのテンパリング作業を行います。

チョコレートの温度を上昇させたり下降させたり変化させるなど、手順をいくつか踏む必要があり、技術や知識などが欠かせませんが、短時間でかつチョコレートを小規模の量からテンパリングを行うことが可能となります。

基本のテンパリング方法

ちなみにテンパリングの基本として、代表的な方法に3種類が挙げられます。

  • 水冷法
  • タブリール法
  • フレーク法

昇温型テンパリングは様々な手段がありますが、主にこれら3種類のテンパリング方法を応用したものになります。

水冷法の特徴

水冷法と呼ばれるテンパリング方法ですが、溶かしたチョコレートを冷水にあてることで温度を徐々に下げていき、再度加熱して温度を上げる調温方法です。

テンパリング方法の中では、容易とされている方法で、失敗が少ないことからも初心者でも扱いやすい方法と言われています。

冷水法の注意点としては、チョコレートの温度を下げる際に冷水を使用するため、作業中にチョコレートの中に水が混入してしまう危険性があります。

また冷水を当てている部分から温度が低くなっていくため、部分的にチョコレートの温度にムラが出ます。

チョコレートを均一に全体の温度を下げていくには混ぜることが大切で、テンパリングするチョコレートの量が多ければ多いほど、混ざりにくく均一に温度を下げることは困難となります。

タブリール法の特徴

タブリール法以外にもタブラージュ法、大理石上(マーブル台)で行うためテーブルテンパリングやマーブルテンパリングとも呼ばれます。

タブリール法も水冷法と同様に、溶かしたチョコレートの温度を下降上昇させますが、タブリーム法の場合は、水ではなく大理石を使用します。

溶かした温かいチョコレートを大理石の作業台に上に広げることで、冷たい大理石の温度と室内の空気に触れることによってチョコレートの温度が下がり、一定温度まで下がると再度ボウルに戻し、残りチョコレートと混ぜ合わせ全体の温度を少し上げることで適した温度にします。

水冷法と比較して、均一に温度を下げることができますが、温度の見極めが難しくなり、技術力が求められる方法となります。

大理石の台など作業環境を整える必要もあり、テンパリングの中でも難易度は高めです。

フレーク法・種付け法の特徴

シード法とも呼ばれます。

溶かしたチョコレートにテンパリングされている刻んだチョコレートを徐々に加えていき、適温になるまで温度を下げていく方法です。

温かく溶けたチョコレートに、固体の状態の刻んだチョコレートを加えて混ぜることで、チョコレート全体の温度を下げていきます。

すでにテンパリングされているチョコレートの結晶を中心とすることで、テンパリングされていないチョコレートの結晶の型を、適した結晶構造へと導くことを目的として行われるテンパリング方法です。

フレーク法の難点としては、テンパリングするために溶かしたチョコレートに、どれくらいの量の刻んだチョコレートが必要となるのかについて分量調節が必要とされるため、経験や技術が求められます。

また加えるチョコレートがテンパリングされたものでないといけないので注意が必要です。

3種類の中でもより少量からテンパリングが行える方法でもあります。

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