チョコレートのカカオ含有量の罠?同じカカオ分でも本当の割合は異なる?

チョコレートのカカオ含有量、カカオ分について知っていますか?

よく分からずに、チョコレートを選んでいませんか?

カカオ含有量が高いものは、高カカオと呼ばれて、健康志向のチョコレートとして認知されている一方で、カカオ分の高いチョコレートは苦すぎて食べられないと思っている人も多いと思います。

ですが必ずしも、カカオ含有量の高いチョコレートほど苦いのではないのです。

今回はそんなカカオ含有量について解説していこうと思います。

チョコレートのカカオ含有量とは

チョコレートのカカオ含有量、つまりチョコレート全体量におけるカカオを占める割合や量のことを表します。

基本的にチョコレートは、主にカカオマス、カカオバター、(ココアパウダー)、砂糖、乳成分、乳化剤、香料を原材料として使用し作られます。

このうちカカオとは、カカオマスやココアバター、ココアパウダーのことを指しています。

チョコレートに使用している原材料のうち、どれくらいカカオマスやココアバターが含まれているのか?

その全体量に占めるカカオの割合をカカオ分○○%で表しているのです。

チョコレートの種類によるカカオ含有量の違い

チョコレートにはダーク、ミルク、ホワイトの3つに大きく分類されます。

先ほどチョコレートの原材料には、カカオマスやココアバター、(ココアパウダー)、砂糖、乳成分、乳化剤、香料があると書きましたが、このうちの乳成分はミルクチョコレートとホワイトチョコレートのみに含まれるものになります。

乳成分とは粉乳のことで、牛乳から水分のみを取り出し乾燥させパウダー状にした全脂粉乳や、乳脂肪分も取り除いた脱脂粉乳などがあります。

ミルクチョコレートやホワイトチョコレートでは、この粉乳が含まれている分だけチョコレート全体に占めるカカオの割合は減少します。

つまりダークチョコレートと比較すると必然的にカカオ分は低いものとなるのです。

ダイエットにおけるチョコレートのカカオ含有量

ダイエットや健康志向の方に、高カカオチョコレートのようなカカオ分の高いチョコレートがおすすめされているのをよく目にするようになりました。

高カカオチョコレートとは、一般的にカカオ分70%以上のダークチョコレートのことを指します。

カカオ分の高いもの、つまりカカオ含有量が多いチョコレートほど全体のカカオの割合は大きくなります。

ダークチョコレートの場合、原材料に占めるカカオマスやココアバターであるカカオ分を引いた割合こそが、チョコレートに含まれる砂糖のおおよその量となります。

カカオに含まれるカカオポリフェノールなどの成分に注目されていますが、基本的にダイエットでは血糖値を上昇させる糖質の量が重要で、糖質である砂糖を多く摂取することは避けたいため、チョコレートに含まれる砂糖の量が大切になります。

カカオ含有量の高いチョコレートほど、全体量に占める砂糖の量が少ないチョコレートを指すため、よりカカオ分を多く占める高カカオチョコレートをおすすめしているのです。

ココアバターが含まれている理由

チョコレートの原材料には、カカオマスのほかにココアバターと書かれていませんか?

ココアバターとは、カカオの油脂分のことを表します。

ほとんどのチョコレートには、カカオマスのほかにココアバターが記載されていると思います。

(代用油脂を使用しているものやチョコレートの規格を満たしていないチョコレートの場合は除きます。)

このココアバターが原材料に含まれていることこそが、チョコレートにとって重要な意味があるのです。

なぜチョコレートにココアバターを加えるの?

さて、なぜカカオバターが含まれるのか?

一言で簡単に理由を述べると、美味しいチョコレートにするため。

一般的なチョコレートは、カカオマスや砂糖などの原材料にココアバターを加える、つまり足して作っているのです。

ココアバターを加えることで、チョコレートをなめらかにする効果をもたらします。

チョコレートの占める油脂分の量を増やすことにつながり、基本的に代用油脂を使用するのも同様の理由からです。

このココアバターを加えることによって、チョコレートのなめらかさや食べた際のくちどけ感を高め、チョコレートを飛躍的に美味しくできるのです。

カカオマスのみではチョコレートは作れない?

ココアバターであるカカオの油脂分ですが、カカオマスにも油脂分が55%含まれています。

そのため、カカオマスと砂糖だけを混ぜたチョコレートを作ることは可能といえば可能です。

ですが、カカオマスのみに砂糖などを加えて作るチョコレートでは、全体を占める油脂分の比率の量が少なく、なめらかさが足りないものになります。

質感はざらざらとして、食べてもぼそぼそとしたくちどけの悪いチョコレートとなり、チョコレートを加工するにも流動性が悪く、固まっても崩れやすくチョコレートと呼べるものではないのです。

つまり現在、ごく一般的に食べられているチョコレートのような、固体の状態でそのまま食べることができ、一気に口の中で溶けだす美味しいチョコレートを作るためには、カカオマスに含まれている油脂分だけでは足りないのです。

ヴァンホーテンの発明から発展

まだカカオマスしかなかった時代、チョコレートは固められた固体の食べ物ではなく、溶かした液体状の飲み物として扱われていました。

カカオマスを液体状の飲み物にする際、水やお湯で溶かす必要がありますが、カカオマスはカカオの脂肪分であるココアバターを多く含んでいるため、水やお湯に非常に溶かしにくいものでした。

基本的に油と水は互いに反発しあうため、固形状のカカオマスと水分は混ざり合いにくく、分離してしまう問題を抱えていたのです。

その問題を解決したのが、オランダ人のヴァンホーテンという方で、ココアの商品名などで名前を聞いたことがある方も多いと思いますが、カカオマスからココアバターを分離することに成功しました。

カカオマスから油脂分を搾油する機械が発明されたことで、カカオマスからココアバターのみを取り出すことが可能となり、水やお湯にカカオを溶かしやすく、チョコレートはより飲みやすいものへと変化していったのです。

実際はココアバターを取り除く目的のためでしたが、その後ココアバターを活用されるようになり、チョコレートでは含まれるカカオの油脂分を増やすことが可能とし、現在のような固体の状態でも美味しく食べられるチョコレートに改良されていくきっかけとなるのです。

カカオ含有量が多いチョコレートほど苦みは強くなる?

チョコレートのカカオ含有量が多いほど、カカオ独特の苦みや風味は強くなります。

チョコレートの全体量のうち、カカオの占める割合が高いということは、砂糖や乳成分の量が少なくなるため、当然チョコレートの甘味は抑えられ、カカオの苦みや風味が強く感じられることになります。

カカオ分が高いものほど、苦いチョコレートであることは間違ってはいません。

ただ、根本的にカカオ含有量だけでは、チョコレートの味を計れない理由があるのです。

カカオ含有量の計算方法

カカオ含有量であるチョコレートのカカオ分とは、カカオの固形分と油脂分を合わせた量、つまりチョコレートに使用されている原材料に含まれているカカオマスやココアバターの割合です。

ココアバターとはカカオの油脂分のみの状態であり、カカオマスにはその油脂分が約55%を含まれ、残りの約45%は固形分となります。

  • カカオマス  = カカオ固形分45%+カカオ油脂分55%
  • ココアバター = カカオの油脂分100%

つまりカカオマスとココアバターがお互いにどれくらいの量が含まれているかで、チョコレートに含まれるカカオの固形分と油脂分の比率が変わるのです。

例えば、カカオ含有量(カカオ分)50%のチョコレートでは、

  • カカオマス30%+ココアバター20%=カカオ含有量50%
  • カカオマス20%+ココアバター30%=カカオ含有量50%

となり、原材料のカカオマスとココアバターの量が違っていても、どちらもカカオ含有量(カカオ分)50%のチョコレートであり、カカオ含有量は一緒なのです。

カカオの割合が変われば味や苦みの強さも変わる

原材料に含まれるカカオのうち、カカオマスの分量が多ければ、チョコレートに含まれるカカオ固形分は多く、ココアバターを多く含んだチョコレートのカカオ固形分の量は少なくなります。

カカオ固形分には、カカオ独特の苦み成分や香りとなる成分が含まれていて、チョコレートの苦みやカカオの風味などを生み出します。

カカオ油脂分であるココアバターには、苦みや風味になる成分は含まれておりません。

そのため、チョコレートのカカオ分が高いものでも、含まれるカカオの油脂分の割合が多い場合は、チョコレート全体量を占める固形分が少なくなるため、カカオ特有の苦みや香りが減少します。

またカカオの油脂分が増えることで、液体状のチョコレートの粘度はよりサラサラとした状態となり、食べた際のなめらかさやくちどけ感が良くなるだけでなく、チョコレートを加工する際に非常に扱いやすいものとなります。

チョコレートの原材料に使用するカカオマスやココアバターが含まれる割合によっても、チョコレートの味や状態は変化するのです。

つまりは、チョコレートはカカオ含有量○○%が高いものが苦いわけではない。…となるのです。

チョコレートによって味わいはさまざま

チョコレートに含まれるカカオ分は同じでも、カカオマスやココアバターの配合量の割合は、チョコレートのメーカーや種類によって異なり、味わいもそれぞれ違います。。

またカカオ分以外にも、乳成分や砂糖、香料の割合、製造工程など、それぞれメーカーによって違いがあり、さらにカカオ豆の産地や品種にこだわることで、チョコレートの味や風味は無限に広がります。

そのためチョコレートのカカオ分○○%が同じものであっても、それぞれ苦みや風味の強さ、なめらかさやくちどけ感には違いが生まれ、カカオ分が高いのに苦みが少なかったりするチョコレートもあります。

カカオ分は、チョコレートを選ぶ上で大切なものになりますが、カカオ含有量のみを見ただけでは、そのチョコレートの美味しさは計れない…というわけです。

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